2021-01-02 石山の石より白し秋の風 松尾芭蕉 俳句鑑賞 那谷寺に切り立つ石英粗面岩は時の流れに身を浸し、その凹凸の激しさと色をゆるやかに失っていった。原始の頃より繰り返す風雨が石山を白く浄化したのである。白とは清浄であると同時に寂しい色でもある。 芭蕉が白く穏やかに広がる奇石の壁を眺めていると、ふいに冷たい風が流れ、辺りの紅葉が一斉に揺らめいた。その風を岩肌より白く感じたのは、彼にとって必然であった。